400mの練習でよく耳にする「テンポ走」。
しかし、
- 流しとの違いがわからない
- どれくらいの力で走ればいいかわからない
- 400m選手に必要なの?
と感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、テンポ走は400m選手にとって「フォームを維持しながら走る能力」を養うための基礎練習です。
全力疾走ではないため地味に見えますが、年間を通して取り入れやすく、技術練習と持久力強化を両立できるメリットがあります。
この記事では400m選手向けにテンポ走の目的、やり方、練習メニュー例を解説します。
テンポ走とは?
テンポ走とは、全力の70〜90%程度のスピードで一定のリズムとフォームを維持しながら走る練習です。
400m選手の場合は、
- 全力では走らない
- フォームの再現性を重視する
- リラックスした状態でスピードを出す
ことが特徴です。
「速く走る練習」というよりも、「良い動きを反復する練習」と考えるとイメージしやすいでしょう。
テンポ走と流しの違い
どちらも全力では走りませんが、
目的が異なります。
流し
ウォーミングアップや動きの確認が目的。
加速→中間疾走→後半の展開も意識して走る。
テンポ走
フォーム習得や持久力向上が目的。
全体を通して一定のテンポで走るため、レース展開とは異なる場合がある。
流しは全力走に近い展開で行いますが、テンポ走は練習としてテンポを一定にし、ある程度の本数を反復する点が大きな違いです。
400m選手がテンポ走を行う目的
400mはスピードだけでなく、そのスピードを維持する能力も求められます。
テンポ走には以下のような目的があります。
フォームの再現性を高める
全力疾走では力みが出やすくなります。
テンポ走では余裕のある強度で走るため、
- 接地位置
- 骨盤の動き
- 腕振り
- 姿勢
などを意識しながら反復できます。
正しいフォームを身体に覚え込ませるための練習として有効です。
また、タイムを管理することでどれくらい力を出したら、どの程度のタイムで走れるかがわかるようになります。
テンポ走にもおすすめのランニングウォッチを紹介した記事はこちら☟
【400m選手】ランニングウォッチおすすめ7選|GPS・スポーツウォッチ・ストップウォッチ
力まず走る感覚を身につける
400mでは前半から無駄な力みがあると後半で失速しやすくなります。
テンポ走では適度なスピードで走るため、
「速く走ろうとしなくても進む感覚」
を身につけやすくなります。
これはレース中の効率的な走りにもつながります。
基礎的な持久力を高める
テンポ走はインターバルやスピード持久走ほど負荷は高くありません。
その一方で反復本数を確保しやすいため、
- 心肺機能
- 筋持久力
- 走るための基礎体力
の向上にも役立ちます。
特に冬期練習では重要な位置付けになることが多いです。
400m選手のテンポ走のやり方
テンポ走で最も重要なのは「速さ」ではありません。
フォームを維持できる範囲で走ることが大切です。
出力の目安
全力の70〜90%程度。
感覚としては、
- 会話はできない
- 全力疾走ほど苦しくない
- フォームを意識する余裕がある
くらいが目安です。
毎回全力に近くなってしまう場合は強度が高すぎます。
距離の目安
400m選手の場合は、
- 100m
- 120m
- 150m
- 200m
- 250m
- 300m
あたりが使いやすい距離です。
距離が長くなるほどフォーム維持能力が求められます。
陸上競技場で距離を測る方法はこちら☟
【短距離】陸上競技場で距離を測る方法|距離別目印まとめ
レストの考え方
テンポ走は疲労困憊になることが目的ではありません。
次の1本でも同じフォームを再現できる程度に休みます。
とはいえ1本の負荷を落としている分、効率性の観点ではレストを長く取りすぎることもおすすめしません。
レストが短すぎてフォームが崩れるようであれば、本数よりも質を優先しましょう。
タイムの考え方
タイムを測る場合は、設定タイムに対して±何秒以内ならOKという基準を決めておきましょう。
(イメージ)
| 距離 | タイムの許容範囲 |
| 100m | ±0.5秒 |
| 150m | ±0.5秒 |
| 200m | ±1秒 |
| 300m | ±1秒 |
あらかじめ設定した基準から大きく外れる場合は
- 本数が多くて疲労が大きい
- 出力を上げすぎて毎回タイムがバラつく
- ウォッチを押すタイミングがバラバラ
などの問題がないか考えて対処しましょう。
テンポ走で意識したいポイント
力まない
テンポ走で最も多い失敗は頑張りすぎることです。
前半から速く走ろうとすると、後半で自分ではコントロールが難しい力みが発生します。
テンポ走では「余裕を持って速く走る」ことを目指しましょう。
リズムを一定にする
テンポ走は一本の中でペースを大きく変えないことが重要です。
スタートだけ速くなりすぎたり、後半だけ頑張ったりするとテンポ走本来の目的から外れてしまいます。
一定のリズムで走ることを意識しましょう。
力を抜きすぎない
テンポ走は「楽に走るだけ」の練習ではありません。
400mの後半では必ず減速してしまいます。
テンポ走でも後半は苦しくなる場合がありますが、スピードを落としすぎないようにしながら、後半もフォームを保てる出力で走ることが重要です。
- 力みは抑える
- しかし楽をしすぎない
このバランスがテンポ走のポイントです。
走りの中で必要に応じて出力を上げながらラストまでフォームを維持することを心がけましょう。
フォームを観察する
テンポ走は技術練習でもあります。
走りながら、
- 腰が落ちていないか
- 脚が後ろに流れていないか
- 上半身が力んでいないか
を確認しましょう。
動画撮影との相性も良い練習です。
400m選手向けテンポ走メニュー例
基礎づくり期(初心者向け)
フォーム習得が目的。
距離は短めで構いません。
例
- 距離
– 100m×5〜10本
– 120m×5本
– 200m×3本 - 出力
– フォームを意識できる余裕を残した強度。目安として100mの全力タイム+1〜2秒程度 - レスト
– 3〜5分が目安。
– フォーム維持するために最低限の回復
– 持久力アップも意識しレストを長く取りすぎない
冬期練習
走り込みと技術練習を兼ねる時期。
例
- 距離
– 200m×4〜6本
– 250m×3〜4本
– 300m×3〜6本
本数を確保しながらフォーム維持を狙います。 - レスト
– 4〜7分程度
– 距離が長い分、息が整うまで休む。 - 出力
– 7〜9割
– シーズン中よりやや抑えめでも構いません。
シーズン中
疲労を溜めすぎず動きを確認したい場面で活用します。
例
- 距離
– 100m×3〜5本
– 200m×2〜4本
– 300m×2〜4本 - レスト
– 4〜7分程度
– 次のセットもフォーム維持できるレベルまで回復させる - 出力
– 8〜9割
試合直前なら本数少なめでフォーム確認、
試合の合間の練習期間なら多少本数多めでも取り入れやすいです。
本数を重ねる場合は厚底のランニングシューズ、試合も見据えるタイミングならスパイクにするといった使い分けもできます。
テンポ走にも使える厚底シューズのおすすめはこちらの記事で紹介☟
【400m】トレーニングにおすすめの厚底クッションシューズ3選|スプリント練習の脚への負担を軽減
テンポ走はこんな選手におすすめ
特におすすめなのは、
- フォームが安定しない選手
- レース後半で動きが崩れる選手
- 冬期練習に取り組む選手
- 怪我明けで徐々に強度を上げたい選手
です。
派手な練習ではありませんが、長期的な成長につながる基礎練習として活用できます。
テンポ走でよくある失敗
毎回全力に近くなってしまう
1〜2本でゴール後にすぐ歩けないほど疲労してしまう場合は力の出しすぎの可能性があります。
そのような場合は、タイム設定を明確に決めて楽に走れるタイムで毎回揃えるようにしましょう。
タイムは疲労を考慮してセットによって変えてもいいです。
例 PB 24.0の選手が200m×6を行う場合
- パターン①
テンポ走の設定タイム:28〜29秒×6 - パターン②
テンポ走の設定タイム:1〜3本目 27〜28秒 4〜6本目 28〜29秒
本数を増やしすぎる
- 後半で大きく失速する
- フォームが保てない
- 序盤の加速から力が出ない
このような場合は本数が多すぎる可能性があります。最終本でちょうどきつさのピークを迎えるくらいが適正な本数の目安です。
逆にこれ以上はパフォーマンスのレベルを保てないと感じたらその時点で練習を終わりにしましょう。
フォームではなくタイムばかり気にする
テンポ走においてタイム管理は大切です。
一方でタイムに囚われすぎてフォームの意識が疎かになってはいけません。
大切なのはフォームを維持した結果としてタイムが揃ってくる状態です。
タイムだけを追いかけると無理にペースを上げようとして力みが生まれ本来のテンポ走の目的であるフォームの再現性向上からズレてしまいます。
まとめ
テンポ走は400m選手にとってフォームづくりと基礎体力向上を同時に行える練習です。
ポイントは、
- 全力ではなく70〜90%程度
- フォーム重視
- 力まず一定のリズムで走る
- 本数よりも質を優先する
ことです。
スピード練習やスピード持久走だけでなく、テンポ走も継続的に取り入れることで400mに必要な走りの土台を作ることができます。
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