400mのタイムを伸ばすには、後半の粘りだけでなく前半のスピードを高めることも重要です。
前半のスピードが不足していれば、後半でどれだけ粘っても記録を大きく伸ばすことはできません。
ただし、400mの前半強化は100mや200mをただ全力で走ればいいわけではありません。
加速能力・高いスピードを維持する能力・そのスピードを400mにつなげる能力をバランスよく鍛える必要があります。
この記事では、400m選手が前半のスピードを高めるための考え方と、具体的な練習メニューを紹介します。
400m選手が前半を強化するメリット
400mの前半を強化することで、主に以下のようなメリットがあります。
- 100mまでの加速力が高まる
- 200mまでのスピードが高まる
- 400mの前半で余裕を持って走れるようになる
- 周囲の選手に対し優位にレースを進めることができる
- 後半につながるスピードの土台を作れる
- 400m全体のタイムを短縮できる
400mは単純な持久走ではありません。
短距離種目として十分なスピードを発揮し、そのスピードをできるだけ長く維持することが求められます。
そのため、前半のスピードを高めることは、400m選手にとって重要な強化ポイントです。
400mの前半で重要な能力
400mの前半を速く走るためには、大きく分けて3つの能力が重要です。
100mまでの加速能力
スタートから最初の100mでは、静止した状態から一気にスピードを高める必要があります。
この区間では、スタートからの加速力やスプリント能力が重要になります。
特に400mを走りきるためには、力を使いすぎずにスムーズに加速する必要があります。
100〜200mのスピード
400mでは100mを過ぎても高いスピードを維持する必要があります。
100mだけ速くても、150〜200mで大きく減速してしまえば、400mの前半を速く走ることはできません。
そのため、トップスピードそのものに加え高いスピードを省エネで維持する能力も必要です。
高いスピードから後半につなげる能力
400mでは前半を速く走るだけでは不十分です。
前半でスピードを出しすぎて後半に大きく失速すれば、結果的に400mのタイムは伸びません。
前半のスピードを高めながら、そのスピードを後半につなげられることが重要です。
全体を最適化するためには出力配分の考え方が大切です。
出力配分について解説した記事はこちら☟
【400m】ペース配分のコツ|区間ごとの出力マネジメント
400m前半強化におすすめの練習メニュー4選
400mの前半を強化するためには、目的に応じて練習を使い分けます。
①ショートダッシュ(30〜100m)
前半強化の土台となるのが、短い距離のスプリントです。短距離を高いスピードで走ることで、400mの前半に必要となる加速能力やスプリント能力を高めます。
例
- 40m × 4〜6本
- 60m × 4〜6本
- 30m×5本、60m×3本、90m×2本
単独で同じ距離を走るやり方と、違う距離を組み合わせて行うやり方があります。
1本ごとの質が大切ですが、レストは取りすぎないようにします(目安3〜5分)。
ポイント
前傾姿勢から出力を上げ、高いスピードを出すことが大切です。
②80m〜120m走
30〜100mよりも距離を伸ばすことで、加速した後のスピードを維持する能力を鍛えます。
例
- 80m × 4〜8本
- 120m × 3〜5本
レストは5〜10分を目安とし、1本ごとの質を高めます。
ポイント
400m選手でも80〜120mを全力で走ることが大切です。その中で、中盤以降は力みを抑えながら高いスピードを保つことを意識します。
中間疾走のイメージは下り坂で自転車を漕ぐ時のように無理に脚を回してスピードを上げようとせず、既にできたスピードに乗る感覚です。
③120m〜150m走
短い距離のスプリントよりも長く高いスピードを維持する能力を鍛えます。
例
- 120m × 3〜5本
- 150m × 3〜4本
単純な全力走だけでなく、ウェーブ走やポイント練習として区間ごとの走り方を設定した練習を取り入れると効果的です。
ウェーブ走について解説した記事はこちら☟
【短距離】ウェーブ走のやり方|スピード持久力を鍛える練習方法と効果
ポイント
この距離では、最初から力んでしまうと後半に動きが崩れやすくなります。
前半でスムーズに加速し、その後はリラックスしてスピードを維持することを意識します。
リラックス=脱力ではなく、必要なタイミングだけ強く出力です。
④200m走
400mの前半強化を考える上で、200m走も重要な練習になります。
例
- 200m × 2〜4本
レストは10〜15分を目安とし、1本1本の質を重視し9〜10割で走ります。
ポイント
400m前半を速くするための200m走では、400mのようなペース配分を意識しすぎるより200m単体として高いスピードを発揮することを重視します。
レース全体で見ると「高いスピードを出した状態から、400m後半につなげられる走り」が重要ですが、この練習では「高いスピードを出す」所にフォーカスします。
前半強化では「速く走る」だけでは不十分
400mの前半を速くするためには、単純に100mや200mのタイムを縮めることも大切です。
それに加えて400mという種目の中で前半のスピードを使えるようにすることも重要です。
例えば100mの自己ベストが更新できても、400mで前半から力みすぎてしまえば、後半の大幅な失速につながる可能性があります。
そのため、
力まずにスピードに乗り、そのスピードを維持する力を身につける必要があります。
前半を速くしすぎると400mは遅くなる?
「400mは前半を抑えて後半に備えたほうがいい」という考え方があります。
確かに、前半で必要以上に飛ばしてしまえば、後半の失速が大きくなる可能性があります。
しかし、だからといって前半のスピードを抑えれば400mが速くなるわけではありません。
400mの記録を伸ばすためには、自分のスピード能力に合った適切なペースで前半を走ることが重要です。
ペースはタイムにとらわれず、力みや努力度を抑えた状態でのスピードを考えます。
そのためには、まず100mや200mのスピードそのものを高めておく必要があります。
前半のスピード能力が高くなれば、同じ400mのレースペースでも以前より余裕を持って走れる可能性があります。
400m前半でバテてしまう人向けの練習メニューはこちら☟
【400m】前半を飛ばしすぎて後半失速する原因と練習メニュー3選
前半強化と後半強化をバランスよく行う
400mでは前半だけを強化しても、後半だけを強化しても十分ではありません。
前半のスピードを高めたうえで、そのスピードを400mの最後までつなげられる能力を身につけることが重要です。
日々の練習の中で、自分の課題を意識しながら前半強化、後半強化やフォームや補強等の基礎練習をバランスよく行いましょう。
練習頻度について解説した記事はこちら☟
【400m】練習頻度の目安は?週何回練習すれば速くなる?目的別の練習配分も解説
まとめ
400mのタイムを伸ばすためには、後半の粘りだけでなく前半のスピード強化も重要です。
前半強化では、
- 30〜60mで加速能力を高める
- 80〜120mで高いスピードを維持する能力を高める
- 120〜150mで前半のスピード持久力を高める
- 200mで長く高いスピードを発揮する力を鍛える
といった練習を目的に合わせて取り入れます。
400mは「後半に強い選手」が速いだけではありません。
**高いスピードを発揮でき、そのスピードを400mの最後までつなげられる選手**が強い400m選手です。
そのため、400mの記録を伸ばしたいのであれば、後半の粘りを鍛えるだけでなく、前半のスピードそのものを高める練習にも取り組みましょう。
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