「ウォーミングアップはしているけど、これで合っているのか分からない」
「試合前に何をやればいいのか迷う」
そんな人も多いのではないでしょうか。今回は、私が普段のトレーニングや試合前に行っているウォーミングアップの流れをまとめました
この記事では
- 短距離選手が共通で実践できる基本の4ステップ
- 400m向けの出力と持久系を両立させるウォーミングアップ
この2つを理解することができます。
ウォーミングアップの目的
ウォーミングアップはただ“体を温める時間”ではありません。
以下の2つが大きな狙いです。
- 身体を運動できる状態に整えて怪我を予防する
- 身体のキレを引き出しパフォーマンスを向上させる
全体の流れ(約30〜45分)
- 静的ストレッチ(3分)
- モビリティワーク・Jog(5分)
- 動的ストレッチ(ドリル)(15分)
- 流し(10〜20分)
身体を
弛める → 整える → 動かす → 走る
という流れで徐々に強度を上げていきます。
その過程で結果として体温や筋温も上がり、
スプリント動作に入りやすい状態を作ります。
Step1:静的ストレッチ(約3分)
負荷をかけすぎず、“弛緩させすぎない”軽めのストレッチを10秒ずつ。
全身を満遍なくほぐします。
- 股関節
- 腸腰筋
- 大腿前部(もも前)
- ハムストリング
- 臀部
- 下腿(ふくらはぎ)
- 体幹部
- 肩まわり
「強く伸ばす」よりも、「可動域を確認しながらほぐす」イメージです。
(参考記事リンク)
短距離選手なら知っておきたい「柔らかい股関節」の作り方
Step2:モビリティワーク・Jog(約5分)
※私の場合は優先度は高くありませんが、身体を温める目的として取り入れる選手も多いメニューです。
モビリティワークとは
筋肉・関節・神経の動きをスムーズにして可動域や動作の質を上げるための取り組み。
(例)股関節回し、胸郭を動かすエクササイズなど、その場や座った状態で身体をコントロールする
目的
- 体温(筋温)を上げる
- 関節の動きを滑らかにする
Jog(=ジョギング)のポイント
- 重心位置と身体の軸を意識
- 少し心拍が上がる程度の強度
- 目安:400m~800m程度
(余裕のある人はもう少し長くてもOK)
Step3:動的ストレッチ(ドリル)(約15分)
距離は 20m 程度で行うのが目安。
目的
- 可動域を広げる
- 大きな筋肉を動かしながら温める
- スプリント動作への移行をスムーズにする
最初はゆっくり動きの確認 → 徐々に素早い動きや切返し動作を入れていきます。
(参考記事リンク)
【スプリントドリル】脚を引き上げる片脚腿上げの正しいやり方【初心者・小学生向け】
Step4:流し(10〜20分)
ここから実際のスプリント動作を行う段階。
- 最初はゆっくりでOK
- 7〜8割の力感でフォームを意識
- ダッシュではないので力みすぎないこと
私は身体の状態に合わせて毎回距離や出力を調整していますが、ルーティン化して毎回同じ距離を走るのもよいと思います。
※400m選手の場合
流しで余裕を持って速く走る感覚を作っておくのが重要
以下は参考例です。
参考メニュー
(その日の状態をみて組み合わせる)
- 60m × 3
- 100m × 3
- 120m × 2
私の最近のトレンド
- 110m × 4(ビルドアップ)
- 少し休憩
- 40m or 60m × 2〜3本(ダッシュに近い刺激)
その他|補強系メニュー
モビリティワークや動的ストレッチと組み合わせて補強メニューで身体を温めるのもおすすめです。
ポイント
大きな筋肉を動かす運動を入れると◎
例
- 両脚ジャンプ
- スプリットジャンプ
- メディシンボール投げ
ウォーミングアップにも使えるメディシンボールの選び方はこちらの記事で解説☟
補強・ウォーミングアップに|短距離選手に最適なメディシンボールの選び方
400m向け|試合の日のウォーミングアップ
試合の日は、ここまでで作ってきた“動ける状態”から さらにキレを上げる動作を加えていきます。
距離と本数はあくまで目安なので、当日の体調に合わせて調整してください。
ショートダッシュ
30m × 3本 / 60m × 2本
短い距離で反応や切り替えの感覚を整えます。
いきなり力みすぎず、最初の1本目は力感60〜70%程度から。
マーク刻み走
マーカーを2足長・狭めのピッチ設定
細かいピッチでとにかく速く刻む動作。
- 重心の前への移動
- 脚の回転の速さ
- 接地の短さ
を整える目的で行います。
片脚瞬発腿上げ
片脚ずつ瞬発的に腿を引き上げることで、
スプリントの「切り替え」「反応」を鋭くするドリル。
臀部や股関節に刺激が入ります。
疲労が出ないよう、1セットを短く・速く(各脚2本程度)。
スパイク流し(30m / 60m / 120m など)
状態に合わせて、距離・本数・力感を調整します。
- 30〜60m:
スピード感、出力の確認
- 100〜120m:
伸びの確認、動きの連動チェック
スパイクの“スピード感”を確かめておくことで、レースの加速〜中間疾走へスムーズに入れます。
ポイント走(150〜200m × 1本)
最後に少し長めの距離で、
- 心拍
- 血流
- 呼吸
をレース強度に寄せていく作業。
筋肉のスピード持久系の感覚や心肺系への刺激が入る。
スパイクでもシューズでもOK
400m選手なら、ここで身体が“レース強度のスイッチ”に入ります。
レース直前
あとは休憩を挟みつつ、軽く動いて体が冷えないよう調整。
- スタート反応の確認
- 軽いジャンプや脚振り
- 肩周りの運動
緊張をほぐしつつ動きを保つのがポイント。
※気温や天候に合わせ服装を調整し皮膚表面から体が冷えないように注意
試合の日のウォーミングアップでは、水分補給や紫外線対策を行い外的要因による疲労の低減をすることも大切です。以下の記事でご確認ください。
■試合の日の水分補給
【400m】水分補給完全ガイド|脱水によるパフォーマンス低下を防ぐ具体策【中高生向け】
■短距離選手の夏の紫外線対策
【中高生向け】短距離選手の紫外線対策|夏でもパフォーマンスを落とさない管理術
注意|雨の日の準備
降雨時や風が強く気温が低い日は注意が必要です。
気温が低いと、体温(筋温)が下がりやすくなります。筋肉が冷えた状態で強く収縮すると肉離れ等のリスクが高まります。
これを防ぐためには、
- ウォーミングアップはできる限り屋根のある場所で行う
(ドリルは屋内、流しから外に出るなど) - 移動時は長袖、長ズボンで皮膚表面の体温低下を防ぐ
- 濡れたまま(冷えたまま)急に走り出さない
上記のような注意が大切です。
雨の日の練習の考え方は以下の記事で解説☟
【トレーニング思考】短距離選手の雨の日の練習メニューはどうする?雨天時のトレーニングの考え方
最後に
ウォーミングアップは単なる「準備運動」ではなく、その日の身体と向き合う大切な時間です。
特に400mの本番レースは練習以上に1本で高強度な競技のため事前の準備が非常に重要な役目を果たします。
効率を求めつつも丁寧に行うことで
- その後の走りの質が上がり
- 怪我のリスクも下がり
- 結果としてパフォーマンス向上につながります
ウォーミングアップは、その日の走りを大きく左右します。同じ練習でも準備の質によって身体の動きは大きく変わります。
ぜひ自分に合う形に調整しながら、ウォーミングアップのルーティンを作ってみてください。
怪我予防には練習後のケアも大切です。ストレッチ・マッサージについて知りたい方はこちらをご確認ください☟


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